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2021年04月24日

キャサリンはご機嫌斜め

 「キャサリンさん。さっきから呼んでいるのに、どうして返事をしてくれないの?」と、空飛ぶコーギーのマロンが言いました。青のユニフォームを着たキャサリンは、マロンの方に顔も向けてくれません。「ねえ、キャサリンさんってば…」。マロンの頭に乗っかったケロちゃんも「ケロ♪」と呼んでみましたが、知らん顔。「ご機嫌斜め?」。

 「そりゃあ、誰だって、機嫌がいいわけないでしょう!」と、キャサリンの大きな声が響きました。「さあ、マロン。行くわよ」。「ええ?クロアチア戦は日曜日だよ」と、マロンは言いました。「ドイツに行くって言ってるんじゃなくて、神社にお参りに行くの」と、キャサリンは古い箒にまたがりました。「ちょ、ちょっと、待ってよ」と、マロンとケロちゃんも後を追い駆けました。3本足のヤタガラスもついてきました。空では、ハシブトガラスたちが、ロングシュートの練習をしていました。「いいか。ゴールが見えたら、パスじゃなくて、シュート。シュートを打って打って、打ちまくれ!」と、Zicoカラスが叫んでいました。「クロアチア戦は、4-4-2で行くのよ」と、キャサリンがZicoに言いました。「小笠原を使え!」と、ヤタガラスも言いました。Zicoは、8番のカラスに声をかけました。8番は、力いっぱいのロングシュートを打ってみせました。サッカーボールがマロンの頭に乗っかっているケロちゃんをかすめて飛んで行きました。「ケロ♪」。

 キャサリンの青い稲妻が、どんどん先へと向かいました。こっちでは、ハシボソカラスたちも、4-4-2のシステムを試していました。「コンフェデ杯の再現だ!」と、ここでもZicoカラスが叫んでいました。「がっかりしてても仕方がない」と、チームに声をかけていました。「気持ちを切り替えろ!勝つしかないんだから」と、ヤタガラスが言いました。

 先頭のキャサリンは、ようやく着地の態勢に入りました。そこは、どこかの神社の鳥居の下でした。「あっ、ここは…」と、ヤタガラスが言いました。「どこなの?」と、マロンが聞きました。「あなたは知っているはずよ」と、キャサリンはヤタガラスに言いました。「もちろんです。『八咫烏神社』は、私たちの祖先を祭る神社です」と、ヤタガラスは言いました。「…と言うことは、どういうこと?」。「ここには、ジーコJAPANを守る神様が祭られているのです」と、ヤタガラスが答えました。「そうよね。だから、必勝祈願は、ここしかないわ」と、キャサリンが言いました。

 キャサリンとマロンとケロちゃんとヤタガラスは、目をつぶってそれぞれ手と前足と羽と気持ちを合わせました。「必ず、ジーコJAPANを勝たせてください」。そして、神社の境内にパンパンと拍手を響かせました。「この祈りが、どうかドイツへ届きますように…」。振り向くと、さっきのカラス軍団も羽を合わせて祈っていました。「さあ、戦って、勝つしかないのよ!」と、キャサリンが叫びました。Oh!


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Posted by AKG(秋葉観光ガイド)の斉藤さん at 04:20│Comments(0)魔女のキャサリン空飛ぶコーギー
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