2021年07月28日
ムシャムシャ
ムシャムシャ。ある朝、コーギーの耳にムシャムシャ食べる音が聞こえました。「ああ、誰かが何かを食べてるな」と、小さな音でしたが、マロンにはすぐに分かりました。でも「誰が?何を?」。マロンはあちこち見回してみました。「カブトムシ?ツクツクホウシ?」。「僕らは、木の蜜しか吸わないよ」。「モンシロチョウ?シジミチョウ?」「私たちは、花の蜜しか吸わないわ」。でも、ムシャムシャ食べる音は、ますます大きく響きました。
「誰が?何を?」。マロンが見つけたレモンの葉っぱが、誰かに食べられていました。コーギーのマロンは見つけたとき、緑の葉っぱはすっかり食い散らかされ、「あれ、枝ごと丸坊主?」。食いしん坊の犯人は、枝1本の葉っぱをたいらげ、すでに隣りの枝に移っていました。「ははん。この音だ」。犯人は休むことなくムシャムシャと口を動かしています。「僕みたい」と、マロンがつぶやきました。
イモムシは足を取ったマロンのようにコロコロとしていました。わき目もふらずに、ムシャムシャムシャムシャ。じっと見つめてもムシャムシャ。「ウー」と唸ってみてもムシャムシャ。「ねえ。君はレモンの葉っぱしか食べないの?」と、マロンが虫の言葉で聞きました。
犯人のイモムシはチラッとマロンを見ましたが、すぐにまたムシャムシャ。「少しは、アジサイの葉っぱとかも食べたら?」と、マロンが言いましたが、聞こえない振りしてムシャムシャ。「好き嫌いはよくないな。僕は何でも食べるよ」と、マロンが言いましたが、おかまいなしにムシャッムシャムシャムシャ。「ねえ、聞こえてるの?」。
「聞こえてるよムシャムシャ」と、やっとのことで返事がありました。「僕らはムシャムシャ、食べるのが仕事だしムシャムシャ、レモンに生まれたらムシャムシャ、レモン以外はムシャムシャ、食べれないよ」。「そんなことしてたら、病気になっちゃうよ」と、マロンが言いました。「これ、食べてみる?」と、ドッグフードの残り物を1粒。「ええ?おいしくなさそうムシャムシャ」と、イモムシが言いました。「食べず嫌いはいけないよ」と、マロンがドッグフードを葉っぱの上に乗せました。
イモムシは頭とお腹とお尻がヒソヒソと話を始めました。「それ、食べてみてよ」と、イモムシのお尻がイモムシの頭に言いました。イモムシの頭は、初めての食べ物を食べてみました。「おいしい?」。「ゲッ!まずい」。「そんなことないはずだけどなあ?じゃあ、こっちの味は?」と、別のドッグフードを1粒。「今度は緑色だし、おいしそう」と、イモムシのお腹がイモムシの頭に言いました。「ギャア!犬って、こんなに不味いものを食べてるの?」と、イモムシの頭は一口食べて吐き出しました。「葉っぱの方が絶対においしい。食べてごらんよ」。
「ええ?葉っぱを食べるの?」。「食べてごらんよ」とイモムシのお腹が言いました。「食べてごらんよ」と、イモムシのお尻も言いました。マロンは勧められたレモンの葉っぱを口に入れてみました。「うーん。まずくはないけど」と、マロンが言いました。「マロンもイモムシになれるかもムシャムシャ」。「ぼ、僕、イモムシになりたくないもん」と、マロンが言いました。「でも、いつかはアゲハチョウになれるんだよ」と、イモムシのお尻が言いました。「そうそう、もうすぐアゲハチョウになれるんだよ」と、イモムシのお腹も言いました。「だから、それまでレモンの葉っぱをムシャムシャ、食べ続けるんだムシャムシャ」と、イモムシの頭が言いました。
「アゲハチョウになったら、また遊ぼうね」と、マロンが言いました。「でも、それが君だって分かるかなあ?」。「よし、じゃあ僕だって言う証拠にムシャムシャ、マロンのドッグフードのお皿にとまるよムシャムシャ。絶対に食べないけどねムシャムシャ」と、イモムシの頭が代表して言いました。「うん、楽しみに待っているね」。それから、しばらくした朝、寝ぼけまなこのマロンのお皿に、黄色くて美しいアゲハチョウが1羽、「マロン。おはよう」と、とまっていました。「おはようムシャムシャ」。
「誰が?何を?」。マロンが見つけたレモンの葉っぱが、誰かに食べられていました。コーギーのマロンは見つけたとき、緑の葉っぱはすっかり食い散らかされ、「あれ、枝ごと丸坊主?」。食いしん坊の犯人は、枝1本の葉っぱをたいらげ、すでに隣りの枝に移っていました。「ははん。この音だ」。犯人は休むことなくムシャムシャと口を動かしています。「僕みたい」と、マロンがつぶやきました。
イモムシは足を取ったマロンのようにコロコロとしていました。わき目もふらずに、ムシャムシャムシャムシャ。じっと見つめてもムシャムシャ。「ウー」と唸ってみてもムシャムシャ。「ねえ。君はレモンの葉っぱしか食べないの?」と、マロンが虫の言葉で聞きました。
犯人のイモムシはチラッとマロンを見ましたが、すぐにまたムシャムシャ。「少しは、アジサイの葉っぱとかも食べたら?」と、マロンが言いましたが、聞こえない振りしてムシャムシャ。「好き嫌いはよくないな。僕は何でも食べるよ」と、マロンが言いましたが、おかまいなしにムシャッムシャムシャムシャ。「ねえ、聞こえてるの?」。
「聞こえてるよムシャムシャ」と、やっとのことで返事がありました。「僕らはムシャムシャ、食べるのが仕事だしムシャムシャ、レモンに生まれたらムシャムシャ、レモン以外はムシャムシャ、食べれないよ」。「そんなことしてたら、病気になっちゃうよ」と、マロンが言いました。「これ、食べてみる?」と、ドッグフードの残り物を1粒。「ええ?おいしくなさそうムシャムシャ」と、イモムシが言いました。「食べず嫌いはいけないよ」と、マロンがドッグフードを葉っぱの上に乗せました。
イモムシは頭とお腹とお尻がヒソヒソと話を始めました。「それ、食べてみてよ」と、イモムシのお尻がイモムシの頭に言いました。イモムシの頭は、初めての食べ物を食べてみました。「おいしい?」。「ゲッ!まずい」。「そんなことないはずだけどなあ?じゃあ、こっちの味は?」と、別のドッグフードを1粒。「今度は緑色だし、おいしそう」と、イモムシのお腹がイモムシの頭に言いました。「ギャア!犬って、こんなに不味いものを食べてるの?」と、イモムシの頭は一口食べて吐き出しました。「葉っぱの方が絶対においしい。食べてごらんよ」。
「ええ?葉っぱを食べるの?」。「食べてごらんよ」とイモムシのお腹が言いました。「食べてごらんよ」と、イモムシのお尻も言いました。マロンは勧められたレモンの葉っぱを口に入れてみました。「うーん。まずくはないけど」と、マロンが言いました。「マロンもイモムシになれるかもムシャムシャ」。「ぼ、僕、イモムシになりたくないもん」と、マロンが言いました。「でも、いつかはアゲハチョウになれるんだよ」と、イモムシのお尻が言いました。「そうそう、もうすぐアゲハチョウになれるんだよ」と、イモムシのお腹も言いました。「だから、それまでレモンの葉っぱをムシャムシャ、食べ続けるんだムシャムシャ」と、イモムシの頭が言いました。
「アゲハチョウになったら、また遊ぼうね」と、マロンが言いました。「でも、それが君だって分かるかなあ?」。「よし、じゃあ僕だって言う証拠にムシャムシャ、マロンのドッグフードのお皿にとまるよムシャムシャ。絶対に食べないけどねムシャムシャ」と、イモムシの頭が代表して言いました。「うん、楽しみに待っているね」。それから、しばらくした朝、寝ぼけまなこのマロンのお皿に、黄色くて美しいアゲハチョウが1羽、「マロン。おはよう」と、とまっていました。「おはようムシャムシャ」。
Posted by みんなと倶楽部 ⚓ 掛塚・斉藤さん at 05:19│Comments(0)
│空飛ぶコーギー