2021年07月21日

わた雲のお話

 「誰だろうね?あんなところに子猫を捨てたのは…」と、コーギーのマロンが空を見上げて言いました。「誰だろうね?あんなところに羊を放したのは…」と、ポメラニアンのポテトも雲を見上げて言いました。「猫のママが探してる。フフフ」と、1年生のリナちゃんが言いました。2匹とリナちゃんは、公園の木陰に寝そべって、空を流れる雲を眺めていました。

 子猫は、初めての空に1匹だけで浮かんで寂しそう。ニャーニャーか細い声でママ猫を呼んでいます。ママ猫は東の山の上。耳をピクピクさせて、ニャーニャーと、見えなくなった子猫を探しているみたい。「捨てられちゃったのかなあ?」と、マロンが言いました。「人間って勝手だから…」。南の空では、真っ白羊がメーメーと合唱していました。「羊さんはいっぱいいるね?」と、リナちゃんが言いました。「うん。青い牧場に羊飼いが放したんだね。気持ち良さそう」。

 「あれれ?イルカが跳ねたよ」と、ポテトが首を伸ばしました。「パシャンって波が寄せてるね」と、リナちゃんが画用紙を広げました。「何するの?」と、マロンとポテトがのぞき込みました。リナちゃんは空色クレヨンで、真っ白な画用紙を青く塗りました。塗り残したところが、イルカと波。白いカモメも飛んでいます。「どこからが海?」「どこからが空?」と、マロンとポテトが聞きました。「ううん。海と空とはつながってるのよ」と、リナちゃんが言いました。「ふーん」と、2匹は首を縦に振って納得。

 「牧場も描きましょう」と、リナちゃんが新しい画用紙を広げました。「青い牧場に、白い羊」。モコモコ羊がいっぱい、いっぱい群れていました。「どこからが牧場?」「どこからが空?」と、マロンとポテトが聞きました。「ううん。牧場と空とはつながってるのよ」と、リナちゃんが言いました。「ふーん」と、2匹も空色クレヨンでお手伝い。「夏休みの宿題だって」。

 「リナちゃん。子猫も描いて?」と、マロンが言いました。「はい、はい。でも、広い草原に1匹だけじゃあかわいそう」と、兄弟猫や友だち猫、もちろんママ猫にパパ猫もたくさん描いてあげました。青い草原に白い猫が遊んでいました。「どこからが草原?」「どこからが空?」「どれが子猫?」「どれがママ猫?」。「フフフ。リナの画用紙の世界では、全部一緒。だって、クレヨンは空色しか持ってないもん」。
会い
 木陰から見上げた青空に、ぽっかり浮かんだわた雲のお話。遠く離れていた子猫とママ猫は、風のバスに乗って巡り会いニャーニャー。「あっ、子猫がママ猫の背中におんぶした」「良かったね」「良かったね」。


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Posted by AKG(秋葉観光ガイド)の斉藤さん at 04:47│Comments(0)空飛ぶコーギー
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