2021年04月27日
ゴッツンコ!
ゴッツンコ!と大きな音がしました。「空飛ぶコーギー」のマロンが、サッカーボールを蹴りながら、忘れられた街角を右に曲がった時のことです。「キャイン!痛い!」と、ポメラニアンのポテトの体が跳ね飛ばされました。「マロン。イ、イエローカード!」と、ポテトが叫びました。「ポテチだって、よく見て歩けよ」と、マロンが口を尖らせて反論しました。「それは、こっちの言うこと。マロンの目は、一体どこについてるの?」と、ポテトは、舗道の上を転げまわっていました。「僕は、ドリブルをしていたんだ。だから、ボールから目を離さないようにしてたさ」と、マロンが言いました。「周りを見なけりゃ、いいパスだってできないじゃん。痛いよう」と、ポテチはやっと、起き上がりました。
道の向こうから、黒い影が、サイドラインぎりぎりを駆け上がるドリブルで、マロンたちのところに迫って来ました。「あれは、誰だろう?」と、マロンが言いました。「うん?」と、ポテトも顔を上げました。「花丸!」と、マロンとポテトが声をそろえて言いました。最後のニホンオオカミの花丸が、右に左にステップを踏みながらマロンたちに近づき、センタリングの体勢に入りました。「マロン。タックル!」と、ポテトが叫びました。マロンは花丸の足元のボールを目がけて、スライディング・タックルを試みました。花丸は軽くボールを浮かせて小さくジャンプ。マロンの短い足をかわして、さあ、あらためてセンタリングです。
起き上がったポテトが、ボールのコースに体を入れました。ゴッツンコ!と、大きな音がしました。「キャイン!痛いよう!」と、ポテトの頭で弾んだボールが花丸の足元に戻りました。「ポテト。ごめん。痛かったよね?」と、花丸が言いました。「もう、どうして今日は、ぶつかってばかりなの?」と、ポテトは舗道の上を転げました。「痛い、痛い。痛いよう…」。花丸はポテトに近づきました。「痛いよう、痛いよう」と、言っていたポテトが素早く起き上がり、花丸のボールを奪い、マロンにスルーパスを送りました。
パスを受けたマロンは、もつれる足でドリブル。今度はゴール前に走り込んだポテトの位置を確認して、ボールをあげました。ポテトは軽く前足をあげて合図を送り、ドンピシャのタイミングで大きくジャンプしました。マロンのセンタリングのボールがポテトの頭の上に迫ります。花丸もジャンプの体勢に入り、体を沈めました。ゴッツンコ!と、またまた大きな音がしました。「キャイン!痛いよう!」と、ポテトの体が吹っ飛びました。花丸はマロンからのボールを胸でトラップしました。「ごめんね」と、花丸はポテトに言いました。「今日、3回目だよ」と、ポテトが頭を抱えてうずくまりました。「うーん。どうして、僕ばかりゴッツンコの被害に会うんだろう?」と、ポテトが呻きました。
「ポテトのゴッツンコは今日3回目なの?」と、花丸が聞きました。「そうだよ。もう、頭がバカになっちゃう」と、ポテトが言いました。「それは、もしかしたら…」と、花丸が言いかけました。「何?」と、マロンが聞きました。「何?」と、ポテトも言いました。「もしかしたら…。ゴッツンコの妖精の仕業かもしれない」と、花丸は言いました。「ゴッツンコの妖精?」と、ポテトは大きな声をあげました。「ゴッツンコの妖精は、すき間の妖精の反対で、その妖精たちがいなければ、すべての偶然は出会うことがないまま終わっちゃうんだって。キャサリンさんが言ってた」と、花丸は言いました。「偶然が出会わない?」と、マロンが聞きました。「うん。頭をぶつけるのもゴッツンコの仕業だし、僕たちが出会ったのも、ゴッツンコの仕業なんだって。だから、いいこともあるし、悪いこともある。運よく出会ったり、運悪く会えなかったり…。これもみんな、ゴッツンコの妖精のご機嫌次第なんだって」と、オオカミの花丸が言いました。「そうか。じゃあ、今、ポテトの近くに、ゴッツンコの妖精がいるんだ」と、マロンが言いました。「きっと、そうだね」と、花丸がうなずきました。
ゴッツンコ!と、今まで以上に大きな音が響きました。「あっ!沙織さんだ」と、ポテトが大声を張り上げました。「ポテト!ただ今!」と、沙織さんの明るい声が聞こえました。ポテトはゴッツンコの痛さも忘れて駆け寄りました。「ゴッツンコの妖精?」と、マロンが花丸に聞きました。「多分、ゴッツンコの妖精の仕業だね。ねっ?悪いことばかりじゃあないだろう?」と、花丸が答えました。「沙織さん。僕のそばには、ゴッツンコの妖精がいるんだって。それでね、僕たちはゴッツンコしたんだよ。僕、今日4回目」と、ポテトは興奮して話しかけましたが、沙織さんの耳には、「キャンキャン。ゴッツンコ」としか、聞こえませんでした。
道の向こうから、黒い影が、サイドラインぎりぎりを駆け上がるドリブルで、マロンたちのところに迫って来ました。「あれは、誰だろう?」と、マロンが言いました。「うん?」と、ポテトも顔を上げました。「花丸!」と、マロンとポテトが声をそろえて言いました。最後のニホンオオカミの花丸が、右に左にステップを踏みながらマロンたちに近づき、センタリングの体勢に入りました。「マロン。タックル!」と、ポテトが叫びました。マロンは花丸の足元のボールを目がけて、スライディング・タックルを試みました。花丸は軽くボールを浮かせて小さくジャンプ。マロンの短い足をかわして、さあ、あらためてセンタリングです。
起き上がったポテトが、ボールのコースに体を入れました。ゴッツンコ!と、大きな音がしました。「キャイン!痛いよう!」と、ポテトの頭で弾んだボールが花丸の足元に戻りました。「ポテト。ごめん。痛かったよね?」と、花丸が言いました。「もう、どうして今日は、ぶつかってばかりなの?」と、ポテトは舗道の上を転げました。「痛い、痛い。痛いよう…」。花丸はポテトに近づきました。「痛いよう、痛いよう」と、言っていたポテトが素早く起き上がり、花丸のボールを奪い、マロンにスルーパスを送りました。
パスを受けたマロンは、もつれる足でドリブル。今度はゴール前に走り込んだポテトの位置を確認して、ボールをあげました。ポテトは軽く前足をあげて合図を送り、ドンピシャのタイミングで大きくジャンプしました。マロンのセンタリングのボールがポテトの頭の上に迫ります。花丸もジャンプの体勢に入り、体を沈めました。ゴッツンコ!と、またまた大きな音がしました。「キャイン!痛いよう!」と、ポテトの体が吹っ飛びました。花丸はマロンからのボールを胸でトラップしました。「ごめんね」と、花丸はポテトに言いました。「今日、3回目だよ」と、ポテトが頭を抱えてうずくまりました。「うーん。どうして、僕ばかりゴッツンコの被害に会うんだろう?」と、ポテトが呻きました。
「ポテトのゴッツンコは今日3回目なの?」と、花丸が聞きました。「そうだよ。もう、頭がバカになっちゃう」と、ポテトが言いました。「それは、もしかしたら…」と、花丸が言いかけました。「何?」と、マロンが聞きました。「何?」と、ポテトも言いました。「もしかしたら…。ゴッツンコの妖精の仕業かもしれない」と、花丸は言いました。「ゴッツンコの妖精?」と、ポテトは大きな声をあげました。「ゴッツンコの妖精は、すき間の妖精の反対で、その妖精たちがいなければ、すべての偶然は出会うことがないまま終わっちゃうんだって。キャサリンさんが言ってた」と、花丸は言いました。「偶然が出会わない?」と、マロンが聞きました。「うん。頭をぶつけるのもゴッツンコの仕業だし、僕たちが出会ったのも、ゴッツンコの仕業なんだって。だから、いいこともあるし、悪いこともある。運よく出会ったり、運悪く会えなかったり…。これもみんな、ゴッツンコの妖精のご機嫌次第なんだって」と、オオカミの花丸が言いました。「そうか。じゃあ、今、ポテトの近くに、ゴッツンコの妖精がいるんだ」と、マロンが言いました。「きっと、そうだね」と、花丸がうなずきました。
ゴッツンコ!と、今まで以上に大きな音が響きました。「あっ!沙織さんだ」と、ポテトが大声を張り上げました。「ポテト!ただ今!」と、沙織さんの明るい声が聞こえました。ポテトはゴッツンコの痛さも忘れて駆け寄りました。「ゴッツンコの妖精?」と、マロンが花丸に聞きました。「多分、ゴッツンコの妖精の仕業だね。ねっ?悪いことばかりじゃあないだろう?」と、花丸が答えました。「沙織さん。僕のそばには、ゴッツンコの妖精がいるんだって。それでね、僕たちはゴッツンコしたんだよ。僕、今日4回目」と、ポテトは興奮して話しかけましたが、沙織さんの耳には、「キャンキャン。ゴッツンコ」としか、聞こえませんでした。
Posted by AKG(秋葉観光ガイド)の斉藤さん at 04:42│Comments(0)
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