2021年01月16日
寝ぼすけのトノサマガエル
「ねえねえ、マロンにそっくりな犬が公園にいたよ。しかも二匹も」と、ポメラニアンのポテトがマロンに教えました。トイ・プードルのキャンディーと歩いていたマロンは、「誰だろう?」と、少し急ぎ足で公園に向かいました。「僕も行こうっと」と、ポテトも後を追いました。
公園では二匹のコーギーが遊んでいました。短い足をパタパタやって広場を走り回る姿は、マロンにそっくり。「マロンちゃん!」と近づくチカちゃんを驚かして、公園のハトたちに叱られていました。男の子のコーギーは額から鼻にかけても白い筋で、マロンには、満月の夜に海岸で会ったミクだと分かりました。では、もう一匹のコーギーは誰でしょう?「ミクさん。こんにちは」と、マロンはミクに声をかけました。「やあ、マロン。また、会えたね」と、ミクは言いました。「ミクさん。もう一匹は誰?」と、マロンは聞きました。「あなたが、マロンね。初めまして、私はチョロよ。ミク兄ちゃんの妹なの。おかしな名前よね」と、女の子のコーギーは答えました。「わあ、マロンちゃんが三匹」と、チカちゃんが言いました。マロンと兄妹コーギーは一緒に首を小さく傾けました。「似てる?」。
三匹のコーギーとキャンディーとポテトは、しばらく仲良く遊んでいました。でも、突然泣き出したのは、チョロでした。「チョロ、どうしたの?」と、ミクが聞きました。「あのチビのポテトがね。私の耳を噛んだの」と、チョロが言いました。「ワンワン。ポテト、何で噛むんだ」と、ミクが言いました。「キャンキャン」と、ポテトは言いました。「チョロがいけないんだ。チョロが先にぶつかってきたんだから」。マロンとキャンディーが近寄ってきました。「まあまあ、喧嘩しないで」と、マロンが間に割って入りました。「ねえ、聞いてよ、マロン。ホントなんだから。チョロが突然ぶつかってきたんだから。僕、吹っ飛んじゃったよ」と、ポテトが口先を尖らせて言いました。「違うわ。ぶつかってきたのは、そっちじゃないの!」と、チョロも言いました。「キャンディー、見てた?」と、マロンが聞きました。「ううん。私、見てな~い」と、キャンディーが首を横に振りました。「ミクさんは?」と、マロンが聞きました。「実は、僕も見てない」と、ミクが答えました。
さあ、困りました。ポテトとチョロはにらみ合ったまま。一体、何が起こったのでしょう?
その時、キャンディーの体にドシンとぶつかったものがありました。「わあ!」と、キャンディーは大きくよろめきました。「誰なの?」。次にミクの体にも、ドシンと何かがぶつかりました。「何なんだ?」。最後に、マロンの尻尾のないお尻も何かに勢いよく押され、マロンはそのまま空に飛び上がりました。「ワンワン。誰がいたずらしてるの?」と、マロンは公園を見下ろしました。
空の上からマロンが見たのは、小さな小さなカエルでした。「えー?カエル?」と、マロンは言いながら、みんなのところに降りました。「えー?カエル?」と、みんなも声をそろえて言いました。緑と黒のトノサマガエルが一匹、眠そうな目をこすりながら、ピョンピョンと跳ねています。
「君たちがいけないんだよ。僕のベッドの上でドンドンとやるもんだから、目が覚めちゃった」と、トノサマガエルが言いました。カエルは、今、冬眠から覚めたばかりのようです。三匹のコーギーとキャンディーとポテトは、あっけに取られてしまいました。「目が覚めちゃったって?もう、春だよ」と、マロンが言いました。「他のカエルは、もうとっくに起きているわよ」と、キャンディーが言いました。「えー?今、何月?」と、トノサマガエルが聞きました。「今はもう3月でーす」と、ポテトが言いました。「え?ホント?僕、寝過ごしちゃったのかな?」と、カエルはほっぺたを膨らませて言いました。
「三匹のマロンちゃん!」と、チカちゃんが近づいてきました。チカちゃんは、トノサマガエルに気がつき、そーっと手を伸ばして、カエルの背中をつつきました。カエルは驚いて跳びはねました。「寝ぼすけのカエルさん!」と、チカちゃんはまた指でつつきました。トノサマガエルはまたまた跳びはねました。チカちゃんはカエルの後を追って、つつきます。カエルはピョンと跳ねます。それを見ていた、ミクが、チカちゃんのマネをして、短い前足でつつきました。カエルは必死で逃げました。チョロがお兄ちゃんのマネをしてツンツンとつつきます。カエルはピョン。ポテチもニッコリ笑顔でチョロを見て、ツンツン。カエルはピョン。キャンディーもマロンもツンツン、カエルはピョンピョン。ツンツンとピョンピョンで、寝ぼすけのトノサマガエルは、とうとう池のほとりまでやってきました。最後のツンツンはチカちゃんがしました。トノサマガエルはポチャンと小さな水しぶきをあげて、池に逃げ込みました。
「チョロさん、ゴメンね」と、ポテトが謝りました。「私こそ、ごめんなさい」と、チョロが言いました。そのとき、少し大きなポチャンという音が聞こえました。「トノサマガエル?」と、ポテトが顔を上げると、チカちゃんがカエルを追って、池に落ちていました。「マロン、大変!」と、キャンディーが叫びました。でも、泳ぎが苦手なマロンには、どうすることもできません。「お兄ちゃん、行くわよ!」と、先に飛び込んだのはチョロでした。「チョロ、僕も行く」と、ミクも飛び込みました。二匹のコーギーが力を合わせて、チカちゃんを岸に引き上げました。「ワンワン」と、マロンは大きな声で、チカちゃんのお母さんに知らせました。
チカちゃんの体をキャンディーとポテトが暖めました。チカちゃんのお母さんが駆けつけました。ミクとチョロの兄妹コーギーも岸に上がり、体を震わせました。「ママ、三匹のマロンちゃん!」と、チカちゃんが言いました。「ミクさんとチョロのお手柄だったね」と、マロンは言いました。「僕も、泳げるようになるかな?」。
チカちゃんが、しっかりと握っていた小さな手を開きました。中から、さっきの寝ぼすけトノサマガエルが飛び出しました。「待て!」と、チカちゃんはまたカエルを追いかけました。「危ない!」と、マロンがチカちゃんの前に走りました。ボチャンと、今度は大きな音がして、マロンの体が池に落ちました。「きゃあ、助けて!」と、マロンの顔が池の水につかりました。「ミクさん。マロンを助けて!お願い」と、キャンディーが言いました。でも、兄妹コーギーは何もしないで、ただ見ているだけでした。マロンは手足をバタつかせています。「チョロ、助けてあげて!」と、ポテトも頼みました。兄妹コーギーは笑っているだけで、何もしません。「マロン。立ってごらん」と、ミクが静かに言いました。「えっ?」。マロンが短い足をおろしてみると、マロンの足は池の底に届きました。「浅い」と、マロンが小さな声で言いました。「もう、マロンったら!」と、キャンディーが呆れて言いました。「もう、マロンったら!」と、さっきの寝ぼすけトノサマガエルもマネして言いました。
「マロン。今度会うまでには、泳げるようにしておいてね」と、ミクとチョロが言いました。「マロン。今度会うまでには、泳げるようにしておいてね」と、キャンディーとポテトも言いました。「マロン。今度会うまでには、泳げるようにしておいてね。ケロケロ」と、寝ぼすけのトノサマガエルも言いました。ちょっぴり元気をなくしたマロンの頭を、チカちゃんが優しく優しくなぜてくれました。「マロンちゃん。今度会うまでには…」。
公園では二匹のコーギーが遊んでいました。短い足をパタパタやって広場を走り回る姿は、マロンにそっくり。「マロンちゃん!」と近づくチカちゃんを驚かして、公園のハトたちに叱られていました。男の子のコーギーは額から鼻にかけても白い筋で、マロンには、満月の夜に海岸で会ったミクだと分かりました。では、もう一匹のコーギーは誰でしょう?「ミクさん。こんにちは」と、マロンはミクに声をかけました。「やあ、マロン。また、会えたね」と、ミクは言いました。「ミクさん。もう一匹は誰?」と、マロンは聞きました。「あなたが、マロンね。初めまして、私はチョロよ。ミク兄ちゃんの妹なの。おかしな名前よね」と、女の子のコーギーは答えました。「わあ、マロンちゃんが三匹」と、チカちゃんが言いました。マロンと兄妹コーギーは一緒に首を小さく傾けました。「似てる?」。
三匹のコーギーとキャンディーとポテトは、しばらく仲良く遊んでいました。でも、突然泣き出したのは、チョロでした。「チョロ、どうしたの?」と、ミクが聞きました。「あのチビのポテトがね。私の耳を噛んだの」と、チョロが言いました。「ワンワン。ポテト、何で噛むんだ」と、ミクが言いました。「キャンキャン」と、ポテトは言いました。「チョロがいけないんだ。チョロが先にぶつかってきたんだから」。マロンとキャンディーが近寄ってきました。「まあまあ、喧嘩しないで」と、マロンが間に割って入りました。「ねえ、聞いてよ、マロン。ホントなんだから。チョロが突然ぶつかってきたんだから。僕、吹っ飛んじゃったよ」と、ポテトが口先を尖らせて言いました。「違うわ。ぶつかってきたのは、そっちじゃないの!」と、チョロも言いました。「キャンディー、見てた?」と、マロンが聞きました。「ううん。私、見てな~い」と、キャンディーが首を横に振りました。「ミクさんは?」と、マロンが聞きました。「実は、僕も見てない」と、ミクが答えました。
さあ、困りました。ポテトとチョロはにらみ合ったまま。一体、何が起こったのでしょう?
その時、キャンディーの体にドシンとぶつかったものがありました。「わあ!」と、キャンディーは大きくよろめきました。「誰なの?」。次にミクの体にも、ドシンと何かがぶつかりました。「何なんだ?」。最後に、マロンの尻尾のないお尻も何かに勢いよく押され、マロンはそのまま空に飛び上がりました。「ワンワン。誰がいたずらしてるの?」と、マロンは公園を見下ろしました。
空の上からマロンが見たのは、小さな小さなカエルでした。「えー?カエル?」と、マロンは言いながら、みんなのところに降りました。「えー?カエル?」と、みんなも声をそろえて言いました。緑と黒のトノサマガエルが一匹、眠そうな目をこすりながら、ピョンピョンと跳ねています。
「君たちがいけないんだよ。僕のベッドの上でドンドンとやるもんだから、目が覚めちゃった」と、トノサマガエルが言いました。カエルは、今、冬眠から覚めたばかりのようです。三匹のコーギーとキャンディーとポテトは、あっけに取られてしまいました。「目が覚めちゃったって?もう、春だよ」と、マロンが言いました。「他のカエルは、もうとっくに起きているわよ」と、キャンディーが言いました。「えー?今、何月?」と、トノサマガエルが聞きました。「今はもう3月でーす」と、ポテトが言いました。「え?ホント?僕、寝過ごしちゃったのかな?」と、カエルはほっぺたを膨らませて言いました。
「三匹のマロンちゃん!」と、チカちゃんが近づいてきました。チカちゃんは、トノサマガエルに気がつき、そーっと手を伸ばして、カエルの背中をつつきました。カエルは驚いて跳びはねました。「寝ぼすけのカエルさん!」と、チカちゃんはまた指でつつきました。トノサマガエルはまたまた跳びはねました。チカちゃんはカエルの後を追って、つつきます。カエルはピョンと跳ねます。それを見ていた、ミクが、チカちゃんのマネをして、短い前足でつつきました。カエルは必死で逃げました。チョロがお兄ちゃんのマネをしてツンツンとつつきます。カエルはピョン。ポテチもニッコリ笑顔でチョロを見て、ツンツン。カエルはピョン。キャンディーもマロンもツンツン、カエルはピョンピョン。ツンツンとピョンピョンで、寝ぼすけのトノサマガエルは、とうとう池のほとりまでやってきました。最後のツンツンはチカちゃんがしました。トノサマガエルはポチャンと小さな水しぶきをあげて、池に逃げ込みました。
「チョロさん、ゴメンね」と、ポテトが謝りました。「私こそ、ごめんなさい」と、チョロが言いました。そのとき、少し大きなポチャンという音が聞こえました。「トノサマガエル?」と、ポテトが顔を上げると、チカちゃんがカエルを追って、池に落ちていました。「マロン、大変!」と、キャンディーが叫びました。でも、泳ぎが苦手なマロンには、どうすることもできません。「お兄ちゃん、行くわよ!」と、先に飛び込んだのはチョロでした。「チョロ、僕も行く」と、ミクも飛び込みました。二匹のコーギーが力を合わせて、チカちゃんを岸に引き上げました。「ワンワン」と、マロンは大きな声で、チカちゃんのお母さんに知らせました。
チカちゃんの体をキャンディーとポテトが暖めました。チカちゃんのお母さんが駆けつけました。ミクとチョロの兄妹コーギーも岸に上がり、体を震わせました。「ママ、三匹のマロンちゃん!」と、チカちゃんが言いました。「ミクさんとチョロのお手柄だったね」と、マロンは言いました。「僕も、泳げるようになるかな?」。
チカちゃんが、しっかりと握っていた小さな手を開きました。中から、さっきの寝ぼすけトノサマガエルが飛び出しました。「待て!」と、チカちゃんはまたカエルを追いかけました。「危ない!」と、マロンがチカちゃんの前に走りました。ボチャンと、今度は大きな音がして、マロンの体が池に落ちました。「きゃあ、助けて!」と、マロンの顔が池の水につかりました。「ミクさん。マロンを助けて!お願い」と、キャンディーが言いました。でも、兄妹コーギーは何もしないで、ただ見ているだけでした。マロンは手足をバタつかせています。「チョロ、助けてあげて!」と、ポテトも頼みました。兄妹コーギーは笑っているだけで、何もしません。「マロン。立ってごらん」と、ミクが静かに言いました。「えっ?」。マロンが短い足をおろしてみると、マロンの足は池の底に届きました。「浅い」と、マロンが小さな声で言いました。「もう、マロンったら!」と、キャンディーが呆れて言いました。「もう、マロンったら!」と、さっきの寝ぼすけトノサマガエルもマネして言いました。
「マロン。今度会うまでには、泳げるようにしておいてね」と、ミクとチョロが言いました。「マロン。今度会うまでには、泳げるようにしておいてね」と、キャンディーとポテトも言いました。「マロン。今度会うまでには、泳げるようにしておいてね。ケロケロ」と、寝ぼすけのトノサマガエルも言いました。ちょっぴり元気をなくしたマロンの頭を、チカちゃんが優しく優しくなぜてくれました。「マロンちゃん。今度会うまでには…」。
Posted by AKG(秋葉観光ガイド)の斉藤さん at 05:44│Comments(0)
│空飛ぶコーギー