2021年07月19日
カミナリ犬
「あれって、何?」。夕立が上がった後の街角で、空飛ぶコーギーのマロンたちが見つけたのは、手の上に乗りそうなくらいに小さな、世にも不思議な動物でした。「犬なんじゃない?」と、ポメラニアンのポテトが言いました。「チワワの赤ちゃんかなあ?」。顔や形は犬にそっくりでしたが、初めて見るその動物には、6本の脚がありました。「犬の脚って4本って決まってるよね」と、マロンが聞きました。「猫だって馬だって羊だって、脚は4本だよ」と、ポテトが答えました。「じゃあ、カブトムシやセミは?」「6本」「…って言うことは、あれは犬みたいだけど犬じゃあなくて、犬みたいな昆虫なんだ」と、マロンが首をひねりながら言いました。
「おーい。君は何なの?」と、マロンは犬の言葉で聞いてみました。犬みたいな昆虫は、6本の脚で近寄って来ました。そして、いきなり「ガラガラガラ!」と、チビのくせに街中に響くくらいに大きな声で吠えかかってきました。マロンも負けずに「ガウガウガウ!」と叫び返しました。「ガラガラ?変な鳴き声」と、ポテトが大声に耳をふさぎながら言いました。「犬の鳴き声じゃあないよね」。
犬みたいな昆虫は、「ゴロゴロゴロ!」といつまでも喉を鳴らして唸っていました。「この声って、どこかで聞いたことがある」と、マロンが言いました。「そう言えば、どこかで…」と、ポテトも考えました。「ガラガラ?」「ゴロゴロ?」「これって、カミナリの音じゃん!」と、2匹が同時に言いました。犬みたいな昆虫の鳴き声は、空で響くカミナリの音と同じでした。「君は一体、何なの?」。
「おーい、マロン!」と、雲の上から声がしました。いつか会ったカミナリさまの子どもでした。「僕の犬、見なかった?」。カミナリさまの子どもは、小さな雲に乗って降りてきました。「ああ、ここにいる!」。「何だ。この犬みたいな昆虫は、君の犬なの?」と、マロンが聞きました。「そう。僕の飼っているカミナリ犬の『いなづま』。さっきの夕立の時に、いなくなっちゃったんで探していたんだ」と、カミナリが答えました。「つーことは、やっぱ、犬なの?」と、ポテトが聞きました。「そう。僕たちカミナリ族が飼っている犬は、6本脚の超小型犬なんだ。体の割りに大きな声で吠えるのが自慢でね」と、カミナリが言いました。「こう見えても、僕の『いなづま』は、チャンピオン犬なんだぞ。首から胴にかけてのギザギザ模様だって、稲妻にそっくりだろう?」。
「僕だって、声の大きさじゃあ負けないよ」と、ポテトが言いました。「ポテチ。やめときな。いくらポテチが頑張ったとしても、このチビほど大きな声は出ないよ」と、マロンが言いました。「ガラガラガラ!チビって言うな!」と、『いなづま』が犬の言葉で吠えました。「何だ。犬の言葉が分かるんだ」と、マロンが耳をふさぎながら言いました。「当ったり前じゃん。犬なんだから。もう、犬みたいな昆虫なんて言うなよ!」と、6本の脚をバタバタさせながら、大声で「ゴロゴロ!」とわめき散らしました。「キャンキャン!うるさい!こんなに近くにいるんだから、もっと小さな声で話しても聞こえる!」と、ポテトが負けないくらいの大声で言いました。「ガウガウ!両方とも、静かにしろ!」と、マロンも声を張り上げました。「えー?何だって?耳をふさいでるから、よく聞こえない」と、カミナリさまの子どもが叫びました。「だから、うるさいって言ってるの!」と、全員が声をそろえて言いました。
空では、本物の稲妻が光りました。「ガラガラガラ!ゴロゴロゴロ!」と、大きな音が街中に響きました。「キャア!パパが怒ってる」と、カミナリさまの子どもが急におとなしくなりました。「僕も叱られちゃう」と、『いなづま』も小さな声で言いました。「僕たちが大きな声を出してもいいのは、夕立の時だけ。いつもは、小さな声で話さないと、パパに叱られちゃう」と、カミナリが言いました。「さあ、『いなづま』。帰るよ!」と、小さな雲に乗って、6本脚の犬みたいな昆虫みたいなカミナリ犬は帰っていきました。
「どうして、地上で大声を出すんだ!あれほどいけないと言っているのに!」と、言いつけを守らなかった子どもと犬にカミナリを落とす大声が、雲の上から響いてきました。「それにしても、ポテトの大声は、チャンピオン犬になれるかも知れないぞ」。
「おーい。君は何なの?」と、マロンは犬の言葉で聞いてみました。犬みたいな昆虫は、6本の脚で近寄って来ました。そして、いきなり「ガラガラガラ!」と、チビのくせに街中に響くくらいに大きな声で吠えかかってきました。マロンも負けずに「ガウガウガウ!」と叫び返しました。「ガラガラ?変な鳴き声」と、ポテトが大声に耳をふさぎながら言いました。「犬の鳴き声じゃあないよね」。
犬みたいな昆虫は、「ゴロゴロゴロ!」といつまでも喉を鳴らして唸っていました。「この声って、どこかで聞いたことがある」と、マロンが言いました。「そう言えば、どこかで…」と、ポテトも考えました。「ガラガラ?」「ゴロゴロ?」「これって、カミナリの音じゃん!」と、2匹が同時に言いました。犬みたいな昆虫の鳴き声は、空で響くカミナリの音と同じでした。「君は一体、何なの?」。
「おーい、マロン!」と、雲の上から声がしました。いつか会ったカミナリさまの子どもでした。「僕の犬、見なかった?」。カミナリさまの子どもは、小さな雲に乗って降りてきました。「ああ、ここにいる!」。「何だ。この犬みたいな昆虫は、君の犬なの?」と、マロンが聞きました。「そう。僕の飼っているカミナリ犬の『いなづま』。さっきの夕立の時に、いなくなっちゃったんで探していたんだ」と、カミナリが答えました。「つーことは、やっぱ、犬なの?」と、ポテトが聞きました。「そう。僕たちカミナリ族が飼っている犬は、6本脚の超小型犬なんだ。体の割りに大きな声で吠えるのが自慢でね」と、カミナリが言いました。「こう見えても、僕の『いなづま』は、チャンピオン犬なんだぞ。首から胴にかけてのギザギザ模様だって、稲妻にそっくりだろう?」。
「僕だって、声の大きさじゃあ負けないよ」と、ポテトが言いました。「ポテチ。やめときな。いくらポテチが頑張ったとしても、このチビほど大きな声は出ないよ」と、マロンが言いました。「ガラガラガラ!チビって言うな!」と、『いなづま』が犬の言葉で吠えました。「何だ。犬の言葉が分かるんだ」と、マロンが耳をふさぎながら言いました。「当ったり前じゃん。犬なんだから。もう、犬みたいな昆虫なんて言うなよ!」と、6本の脚をバタバタさせながら、大声で「ゴロゴロ!」とわめき散らしました。「キャンキャン!うるさい!こんなに近くにいるんだから、もっと小さな声で話しても聞こえる!」と、ポテトが負けないくらいの大声で言いました。「ガウガウ!両方とも、静かにしろ!」と、マロンも声を張り上げました。「えー?何だって?耳をふさいでるから、よく聞こえない」と、カミナリさまの子どもが叫びました。「だから、うるさいって言ってるの!」と、全員が声をそろえて言いました。
空では、本物の稲妻が光りました。「ガラガラガラ!ゴロゴロゴロ!」と、大きな音が街中に響きました。「キャア!パパが怒ってる」と、カミナリさまの子どもが急におとなしくなりました。「僕も叱られちゃう」と、『いなづま』も小さな声で言いました。「僕たちが大きな声を出してもいいのは、夕立の時だけ。いつもは、小さな声で話さないと、パパに叱られちゃう」と、カミナリが言いました。「さあ、『いなづま』。帰るよ!」と、小さな雲に乗って、6本脚の犬みたいな昆虫みたいなカミナリ犬は帰っていきました。
「どうして、地上で大声を出すんだ!あれほどいけないと言っているのに!」と、言いつけを守らなかった子どもと犬にカミナリを落とす大声が、雲の上から響いてきました。「それにしても、ポテトの大声は、チャンピオン犬になれるかも知れないぞ」。
Posted by AKG(秋葉観光ガイド)の斉藤さん at 04:56│Comments(0)
│空飛ぶコーギー