2021年06月03日
ヒマワリ
公園の花壇には、たくさんのヒマワリが咲いていました。コーギーのマロンは、夜明け前からずっとヒマワリを見ていました。「ヒマワリって、本当に回るの?」。朝焼けの頃には、ヒマワリの花もうつむいて眠っているようでした。「あーあ、眠そう」。マロンも大きなあくびを一つしました。
「そろそろ、朝だね」。太陽が上がるに連れて、早起きのヒマワリも寝ぼけ顔を上げました。「うん?」。その時、ヒマワリは足元にうずくまるマロンを見つけました。マロンはヒマワリと目が合った瞬間、ニイっと笑顔を見せました。「寝ぼすけのヒマワリくん。やっと起きたようだね?」。「君は、ここで何をしてるの?」と、ヒマワリは聞きました。「ヒマワリって、お日さまの方を向いて東から西にと回って行くって聞いたけど、ホントかな、って。確かめてみようと思って待っていたんだ」と、マロンが言いました。ほかのヒマワリたちも少しずつ目を覚ましました。「何だって?僕たちを観察しようとしているの?」と、ヒマワリたちが騒ぎ出しました。ヒマワリは、気が緩んでいたせいか、まだ、好き勝手な方向を見ていました。「シャキッとして!」と、マロンが大きな声を上げました。
ヒマワリたちは、一斉に目を覚まし、一番背の高いヒマワリの号令で、オレンジ色の顔を一斉に東に向けました。「わっ、まぶしい!」と、1本のヒマワリが、顔を背けて目をつぶりました。「ええ?もうダメなの?」と、マロンが聞きました。「いや、そんなことはないよ。僕たちは、いつでもお日さまの方向を見ていることが仕事だから、まぶしいのなんてヘイチャラさ」と、背の低いヒマワリが言いました。それを聞いて、マロンはニイっと笑いました。「さすが!」。
ヒマワリたちは、マロンに見られているからか、どこかぎこちなく顔を回しています。上を向いたり、下を向いたり、中には目を細めたり、ぶったりするヒマワリもいて、オレンジ色の顔がどうも揃いません。「グループ行動が苦手なの?」。お日さまはますます高く昇り、陽射しがジリジリと照り付けました。「暑くない?」と、マロンが聞きました。「あ、あ…」と、言いかけたヒマワリを制して、一番背の高いヒマワリが言いました。「暑くなんかないさ。僕たちは誇り高きヒマワリなんだ。先祖の先祖のそのまた先祖…。真夏のお日さまとは、もう何千年もの付き合いだからね」。
「ほら、お日さまが、もう南の方角に行ってるよ」と、マロンが言いました。ヒマワリたちは、規律正しくオレンジ色の顔を南に向けました。「立派だね。こんなに暑くても、気を付けの姿勢のままだなんて」と、マロンが舌を垂らしてハアハアしながら言いました。「暑い、暑い、暑いよ~!」。ヒマワリたちは、ゴクリと唾を飲み込みました。「フー」と、小さな声が聞こえたような気がしました。
ジリジリ照り付ける陽射しは焼け付く音が聞こえそうなほどヒマワリの顔を熱しました。「フー」と、また小さな声が聞こえました。「シー!」と、ため息を制す声も聞こえたような気がします。「僕、暑過ぎて。ちょっと、水を飲んでくる」と、マロンが水のみ場に向かって駆け出しました。その途端、ヒマワリの葉っぱが、一斉に顔の汗をぬぐいました。「暑い!」「暑い!」と座り込むヒマワリや、葉っぱをウチワのようにしてパタパタと仰ぐヒマワリもいました。
マロンはすぐに戻って来ました。「あれ?少しダレてない?」と、マロンが言いました。「ダレてなんかいないさ」と、背の高いヒマワリが言うと、他のヒマワリも顔を上げましたが、その時お日さまは、少しだけ西の方に動いていました。「どこ?」と、背の低いヒマワリは背伸びしてもお日さまが見つけられず、顔をグルリと回して、お日さまを探しました。「こっち?」と、背の高いヒマワリが、お日さまの方角を葉っぱで指差しました。マロンも並んでお日さまを見上げました。「大変だね」と、マロンが言いました。「早く夕方にならないかね?」。
やがて、長い夏の昼も終わりに近づきました。お日さまは西空低くに落ち、やっとのことで、陽射しも穏やかに変わりました。「お疲れさん」と、マロンが言いました。「いや、これは僕たちの仕事だから…」と、背の高いヒマワリが気を付けのままで言いました。「これを、夏の間、毎日、毎日、繰り返してるんだ」。西空を赤く染めたお日さまが姿を隠しました。「終わった!」と、ヒマワリたちが言いました。「終わったね」と、ヒマワリもマロンも座り込みました。一日中立ち通しの仕事が、今、ようやく終わろうとしていました。その時、西空にお日さまがピョコンと跳び上がりました。「バーイ!」。座り込んだヒマワリたちとマロンは、急なことに驚きましたが、急いでシャキッと立ち上がり、「サヨウナラ!」と、大きな声で、夏の一日に挨拶を送りました。
「そろそろ、朝だね」。太陽が上がるに連れて、早起きのヒマワリも寝ぼけ顔を上げました。「うん?」。その時、ヒマワリは足元にうずくまるマロンを見つけました。マロンはヒマワリと目が合った瞬間、ニイっと笑顔を見せました。「寝ぼすけのヒマワリくん。やっと起きたようだね?」。「君は、ここで何をしてるの?」と、ヒマワリは聞きました。「ヒマワリって、お日さまの方を向いて東から西にと回って行くって聞いたけど、ホントかな、って。確かめてみようと思って待っていたんだ」と、マロンが言いました。ほかのヒマワリたちも少しずつ目を覚ましました。「何だって?僕たちを観察しようとしているの?」と、ヒマワリたちが騒ぎ出しました。ヒマワリは、気が緩んでいたせいか、まだ、好き勝手な方向を見ていました。「シャキッとして!」と、マロンが大きな声を上げました。
ヒマワリたちは、一斉に目を覚まし、一番背の高いヒマワリの号令で、オレンジ色の顔を一斉に東に向けました。「わっ、まぶしい!」と、1本のヒマワリが、顔を背けて目をつぶりました。「ええ?もうダメなの?」と、マロンが聞きました。「いや、そんなことはないよ。僕たちは、いつでもお日さまの方向を見ていることが仕事だから、まぶしいのなんてヘイチャラさ」と、背の低いヒマワリが言いました。それを聞いて、マロンはニイっと笑いました。「さすが!」。
ヒマワリたちは、マロンに見られているからか、どこかぎこちなく顔を回しています。上を向いたり、下を向いたり、中には目を細めたり、ぶったりするヒマワリもいて、オレンジ色の顔がどうも揃いません。「グループ行動が苦手なの?」。お日さまはますます高く昇り、陽射しがジリジリと照り付けました。「暑くない?」と、マロンが聞きました。「あ、あ…」と、言いかけたヒマワリを制して、一番背の高いヒマワリが言いました。「暑くなんかないさ。僕たちは誇り高きヒマワリなんだ。先祖の先祖のそのまた先祖…。真夏のお日さまとは、もう何千年もの付き合いだからね」。
「ほら、お日さまが、もう南の方角に行ってるよ」と、マロンが言いました。ヒマワリたちは、規律正しくオレンジ色の顔を南に向けました。「立派だね。こんなに暑くても、気を付けの姿勢のままだなんて」と、マロンが舌を垂らしてハアハアしながら言いました。「暑い、暑い、暑いよ~!」。ヒマワリたちは、ゴクリと唾を飲み込みました。「フー」と、小さな声が聞こえたような気がしました。
ジリジリ照り付ける陽射しは焼け付く音が聞こえそうなほどヒマワリの顔を熱しました。「フー」と、また小さな声が聞こえました。「シー!」と、ため息を制す声も聞こえたような気がします。「僕、暑過ぎて。ちょっと、水を飲んでくる」と、マロンが水のみ場に向かって駆け出しました。その途端、ヒマワリの葉っぱが、一斉に顔の汗をぬぐいました。「暑い!」「暑い!」と座り込むヒマワリや、葉っぱをウチワのようにしてパタパタと仰ぐヒマワリもいました。
マロンはすぐに戻って来ました。「あれ?少しダレてない?」と、マロンが言いました。「ダレてなんかいないさ」と、背の高いヒマワリが言うと、他のヒマワリも顔を上げましたが、その時お日さまは、少しだけ西の方に動いていました。「どこ?」と、背の低いヒマワリは背伸びしてもお日さまが見つけられず、顔をグルリと回して、お日さまを探しました。「こっち?」と、背の高いヒマワリが、お日さまの方角を葉っぱで指差しました。マロンも並んでお日さまを見上げました。「大変だね」と、マロンが言いました。「早く夕方にならないかね?」。
やがて、長い夏の昼も終わりに近づきました。お日さまは西空低くに落ち、やっとのことで、陽射しも穏やかに変わりました。「お疲れさん」と、マロンが言いました。「いや、これは僕たちの仕事だから…」と、背の高いヒマワリが気を付けのままで言いました。「これを、夏の間、毎日、毎日、繰り返してるんだ」。西空を赤く染めたお日さまが姿を隠しました。「終わった!」と、ヒマワリたちが言いました。「終わったね」と、ヒマワリもマロンも座り込みました。一日中立ち通しの仕事が、今、ようやく終わろうとしていました。その時、西空にお日さまがピョコンと跳び上がりました。「バーイ!」。座り込んだヒマワリたちとマロンは、急なことに驚きましたが、急いでシャキッと立ち上がり、「サヨウナラ!」と、大きな声で、夏の一日に挨拶を送りました。
Posted by AKG(秋葉観光ガイド)の斉藤さん at 04:32│Comments(0)
│空飛ぶコーギー