2021年03月18日
ポテトの尻尾
「柱の傷はおととしの~♪5月5日の背比べ~♪」と、「空飛ぶコーギー」のマロンが歌いながらやってきました。「ポテチって、この頃全然大きくなってないね。僕なんて、こんなに大きくなったのに…」。そう言われてみれば、その通り。ポメラニアンのポテトは、いやしん坊の食いしん坊でしたが、その割には、大きくなりませんでした。「キャンディーの方が、ずっと大きいよね。そのうちに、モモちゃんにも抜かれちゃうかも?」と、ポテトは言いました。「もっと食べないとダメかなあ?」。
「オタマジャクシはカエルの子~♪ポテチの子どもじゃあありません~♪」と、マロンが歌いました。「そんなの、当ったり前じゃん」と、ポテトが言いました。「でもね、知ってる?オタマジャクシって、卵からかえった時には、手も脚もないんだよ。それがね、だんだんと大きくなって、脚が生え手が生え、それから尻尾がなくなるんだって…」と、マロンが言いました。「と、言うことは…」と、マロンは一度話すのを止めました。「と、言うことは?」と、ポテトが話の続きを催促しました。「尻尾のない僕はもう大人。で、尻尾のあるポテチはまだ子ども」。「だって、僕だけじゃあないじゃん。犬って、ほとんど尻尾があるじゃん」と、ポテトが言いました。「僕に言わせれば、みんなまだ赤ちゃんってことだね」と、尻尾のないお尻を振り振り、マロンが威張った調子で言いました。「じゃあ、僕たちみんな、いつかはコーギーみたいに尻尾がなくなっちゃうの?」と、ポテトが聞きました。「ポテトくん。正解です。ここで青のポテチが22番に入り、アタックチャンス!」と、マロンが言いました。「そうなんだ」と、ポテトは尻尾のなくなった自分の姿を想像してみました。「僕、大人になんかなりたくない」。
それから、ポテトは尻尾が気になってしかたがありません。街を歩けば必ず、ウインドーに映る自分の尻尾をながめました。尻尾のないコーギーたちが、ずいぶん大人に見えました。「尻尾、尻尾。尻尾があるし、体は小さいし…。僕このままじゃあ、オタマジャクシに戻っちゃうかも…」と、ポテトは心配になりました。
ある朝、ポテトは「おはよう!」と、声をかけて学校に急ぐ子どもたちのお尻に、ポテトと同じように尻尾が生えているのを見つけました。長いのや短いのや、フサフサの尻尾もありました。ピンと上がったのやダラリと垂れたのやクルリと巻かれた尻尾もありました。子どもたちがおしゃべりする時には、尻尾がユラリユラリと揺れて、喜んだり悲しんだり、怒ったり笑ったり…、身振り手振りよりもっともっと表情豊かに動いていました。ポテトは自分の尻尾をガラスに映してながめてみました。尻尾はダラリと垂れて、元気がありません。ランドセルを背負ったリナちゃんが尻尾を見て、「ポテト。おはよう。元気ないぞ!」と、声をかけて行きました。「うん。分かってる」と、ポテトは言いました。「人間も子どもの時には、尻尾が生えているんだ」。
その日の午後。大好きな沙織さんが戻って来ました。ポテトは久しぶりに思いっきり尻尾を振りました。切れるほどに尻尾を振るポテトを見て、「ポテト。私に会えて、そんなに嬉しい?」と、沙織さんが言いました。「もちろん!」と、ポテトはもっと激しく尻尾を振りました。よく見ると、沙織さんのお尻にも長い尻尾が生えていました。沙織さんの尻尾も、右に左に大きく揺れて、ポテトにも沙織さんの嬉しい気持ちがよく伝わりました。「沙織さんにも、尻尾が生えてる。尻尾でお話できるなら、尻尾って素晴らしいものかも知れない」と、ポテトは考えました。「ポテト。大きくなったね」と、沙織さんがポテトを抱き上げて言いました。「ええ?僕って、大きくなってるの?」と、ポテトは嬉しくて嬉しくて、尻尾を振り続けました。沙織さんの尻尾がポテトの頭を優しくなぜました。「沙織さんも喜んでる」と、ポテトにも分かりました。
「お~い。ポテチ。沙織さんが来たんだって?」と、マロンがやってきました。「わあ、ポテチが尻尾を振ってる。嬉しいんだね?」と、マロンが言いました。「あれ?マロンのお尻にも、尻尾が生えてる」と、ポテトは思いました。目には見えませんでしたが、マロンのお尻の尻尾も、嬉しそうにピコピコと揺れていました。今のポテトには、沙織さんにもマロンにもチカちゃんにも…、ポテトの好きなみんなのお尻に、いろいろな尻尾が生えているのが見えました。「尻尾、尻尾。沙織さんの尻尾…」と、ポテトは沙織さんの尻尾にじゃれつきました。「ねえ?僕って、大きくなってる?」。「尻尾、尻尾。沙織さんの尻尾…。僕、大人のオタマジャクシになれるといいな」。
「オタマジャクシはカエルの子~♪ポテチの子どもじゃあありません~♪」と、マロンが歌いました。「そんなの、当ったり前じゃん」と、ポテトが言いました。「でもね、知ってる?オタマジャクシって、卵からかえった時には、手も脚もないんだよ。それがね、だんだんと大きくなって、脚が生え手が生え、それから尻尾がなくなるんだって…」と、マロンが言いました。「と、言うことは…」と、マロンは一度話すのを止めました。「と、言うことは?」と、ポテトが話の続きを催促しました。「尻尾のない僕はもう大人。で、尻尾のあるポテチはまだ子ども」。「だって、僕だけじゃあないじゃん。犬って、ほとんど尻尾があるじゃん」と、ポテトが言いました。「僕に言わせれば、みんなまだ赤ちゃんってことだね」と、尻尾のないお尻を振り振り、マロンが威張った調子で言いました。「じゃあ、僕たちみんな、いつかはコーギーみたいに尻尾がなくなっちゃうの?」と、ポテトが聞きました。「ポテトくん。正解です。ここで青のポテチが22番に入り、アタックチャンス!」と、マロンが言いました。「そうなんだ」と、ポテトは尻尾のなくなった自分の姿を想像してみました。「僕、大人になんかなりたくない」。
それから、ポテトは尻尾が気になってしかたがありません。街を歩けば必ず、ウインドーに映る自分の尻尾をながめました。尻尾のないコーギーたちが、ずいぶん大人に見えました。「尻尾、尻尾。尻尾があるし、体は小さいし…。僕このままじゃあ、オタマジャクシに戻っちゃうかも…」と、ポテトは心配になりました。
ある朝、ポテトは「おはよう!」と、声をかけて学校に急ぐ子どもたちのお尻に、ポテトと同じように尻尾が生えているのを見つけました。長いのや短いのや、フサフサの尻尾もありました。ピンと上がったのやダラリと垂れたのやクルリと巻かれた尻尾もありました。子どもたちがおしゃべりする時には、尻尾がユラリユラリと揺れて、喜んだり悲しんだり、怒ったり笑ったり…、身振り手振りよりもっともっと表情豊かに動いていました。ポテトは自分の尻尾をガラスに映してながめてみました。尻尾はダラリと垂れて、元気がありません。ランドセルを背負ったリナちゃんが尻尾を見て、「ポテト。おはよう。元気ないぞ!」と、声をかけて行きました。「うん。分かってる」と、ポテトは言いました。「人間も子どもの時には、尻尾が生えているんだ」。
その日の午後。大好きな沙織さんが戻って来ました。ポテトは久しぶりに思いっきり尻尾を振りました。切れるほどに尻尾を振るポテトを見て、「ポテト。私に会えて、そんなに嬉しい?」と、沙織さんが言いました。「もちろん!」と、ポテトはもっと激しく尻尾を振りました。よく見ると、沙織さんのお尻にも長い尻尾が生えていました。沙織さんの尻尾も、右に左に大きく揺れて、ポテトにも沙織さんの嬉しい気持ちがよく伝わりました。「沙織さんにも、尻尾が生えてる。尻尾でお話できるなら、尻尾って素晴らしいものかも知れない」と、ポテトは考えました。「ポテト。大きくなったね」と、沙織さんがポテトを抱き上げて言いました。「ええ?僕って、大きくなってるの?」と、ポテトは嬉しくて嬉しくて、尻尾を振り続けました。沙織さんの尻尾がポテトの頭を優しくなぜました。「沙織さんも喜んでる」と、ポテトにも分かりました。
「お~い。ポテチ。沙織さんが来たんだって?」と、マロンがやってきました。「わあ、ポテチが尻尾を振ってる。嬉しいんだね?」と、マロンが言いました。「あれ?マロンのお尻にも、尻尾が生えてる」と、ポテトは思いました。目には見えませんでしたが、マロンのお尻の尻尾も、嬉しそうにピコピコと揺れていました。今のポテトには、沙織さんにもマロンにもチカちゃんにも…、ポテトの好きなみんなのお尻に、いろいろな尻尾が生えているのが見えました。「尻尾、尻尾。沙織さんの尻尾…」と、ポテトは沙織さんの尻尾にじゃれつきました。「ねえ?僕って、大きくなってる?」。「尻尾、尻尾。沙織さんの尻尾…。僕、大人のオタマジャクシになれるといいな」。
Posted by AKG(秋葉観光ガイド)の斉藤さん at 05:56│Comments(0)
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