空飛ぶホオズキ

AKG(秋葉観光ガイド)の斉藤さん

2021年07月25日 04:41

 朝、目を覚ますと、寝ぼすけマロンの眠気も吹っ飛ぶほどにビックリ!コーギーのマロンの犬小屋は真っ赤っかでした。「あれ?火事?」。壁も真っ赤っか。屋根も真っ赤っか。壁や屋根を透かして夏の太陽が真っ赤っかに差し込んできます。「どうしたのかなあ?」。マロン自分の体を見て、またビックリ!「僕まで真っ赤っか」。

 「どうしたのかなあ?」と、マロンは公園まで歩いて行きました。「やあ、ポテチ。僕って変?」と、マロンが聞きました。ポメラニアンのポテトは「マロン。変なもんか。いい色になったね」と、ニッコリ笑って答えました。「ええ、いい色?」と、マロンが聞きました。「そう。僕たちホオズキは、真っ赤になって一人前。マロンがうらやましいな。僕も真っ赤になれるかなあ?」と、ポテトが言いました。「ホオズキ?僕らが、ホオズキ?」と、マロンが聞きました。「そうだよ。ずっと前から、僕らはホオズキじゃん」と、ポテトが答えました。「犬じゃあないの?」「犬?まさか…」「ホオズキだよ。ホオズキ。他にも真っ赤なホオズキが歩いてるでしょう?」。なるほど、真っ赤な仲間があっちにもこっちにも公園中を歩いていました。「そうか。僕らはホオズキだったんだ」。

 公園を歩く真っ赤なホオズキたちは、あっちでギュ、こっちでギュっと鳴きあっています。「赤くなると、鳴き声だってギュって変わるし、いいなあ」と、ポテトがうらやましそうに言いました。「そ、そうなんだ」と、マロンは言いました。「僕たちはホオズキで、大人になるとだんだん赤くなって、真っ赤になると鳴き声がギュギュってなるんだ」。「もっと、赤くなったら、空を飛べるようになるんだよ」と、ポテトが言いました。「空を飛べる?」と、マロンが聞きました。「だって、僕は空を飛べるよ」。「何、言ってるの?マロンが空を飛べるって?」と、ポテトが言いました。「まさか」。「ええ、だって僕はずっと前から空を飛んでるじゃん」。

 「空飛ぶホオズキって、ほら、あれのこと」と、ポテトが夏空を指差しました。青い空にはギラギラ光る太陽が、真っ赤に燃えて飛んでいました。「あれって、ホオズキなの?」と、マロンが聞きました。「そうだよ。僕らホオズキの仲間の夢だよね。誰だって、いつか空飛ぶホオズキになりたいんだもん。僕だって…」と、ポテトがうらやましそうに見上げました。「空飛ぶホオズキか。僕もいつかは、飛べるようになれるかなあ?」。

 「マロン。夢を見てた?」と、ポテトがやって来ました。「うん?いつか僕も空飛ぶホオズキになりたいって…」と、マロンが答えました。「空飛ぶホオズキ?何のこと?」「だから、空で光ってる、あれ」「あれって、太陽じゃん。それに、僕らはホオズキなんかじゃあなくて犬だし…」と、ポテトが言いました。「ギュギュ」と、ポテトが鳴きました。「ほら、ポテトの鳴き声がギュギュになってる」と、マロンが言いました。「これは、ホオズキを口に入れてるの」と、ポテトがギュギュと、口のホオズキを鳴らしました。青空では空飛ぶホオズキが、2匹の頬を真っ赤に照らしていました。

関連記事