朝からスキップ気分
今日の空飛ぶマロンは朝からいい気分。タララタララタラッタラ♪とスキップで歩いていました。それを見たポメラニアンのポテトがマネをしました。タララタララタラッタラ♪とスキップを踏んで「マロン。ご機嫌じゃん。どうかしたの?」と、聞きました。「うん。天気がいいし、空気は美味しいし」と、マロンは大きく深呼吸をしました。「確かに、朝からスキップ気分だね」。
マロンとポテトはタララタララタラッタラ♪とスキップしながら、公園の小さな池のほとりにやってきました。小さな池の水面は、睡蓮の葉っぱに覆われて、一面緑の蓋がかぶせられたようになっていました。タララタララタラッタラ♪とマロンが、睡蓮の葉っぱの上をスキップしました。タララタララタラッタラ♪とポテトも、睡蓮の花を避けながらスキップしました。「あなたたち、何してるの?」と、トイ・プードルのキャンディーが叫びました。「危ない!沈んじゃうよ!」。ところが、マロンとポテトはキャンディーを振り返りもしないで、タララタララタラッタラ♪とスキップを踏んで池の上を歩き回りました。「どうして沈まないのかしら?」と、キャンディーは自分の足で睡蓮の葉っぱを踏んでみました。足を伸ばして、睡蓮の葉の上に乗せ、少しだけ体を前に出してみると、足はズボっと池の中に入りました。今度は反対の足で試してみました。そーっと、そーっと足を乗せました。足を代えても、同じこと。キャンディーが前足を乗せると、葉っぱはブクっと潜ってしまいました。「どうして、あなたたちは歩けるの?」。
キャンディーが睡蓮の葉の上を見ると、緑のカエルがケロケロ♪と笑っていました。「あら、何がおかしいの?」と、キャンディーはカエルを睨みました。「ケロケロ♪って笑っていれば、誰だって睡蓮の葉の上に乗ることができるんだよ」と、カエルは言いました。「あら、そうなの?じゃあ、マロンとポテトはスキップを踏んでいるから沈まないの?」と、キャンディーは聞きました。「その通り。スキップは、心を軽くしてくれるからね」と、カエルは答えました。「僕たちだって、ケロケロ♪と鳴いていなければ、すぐに池の中にポチャン!さ」。
「私にもできるかしら?」と、キャンディーは大きくうなずきました。そして、小さな池の周りをタララタララタラッタラ♪とスキップを踏みながら歩きました。それから、思い切って前足を睡蓮の葉っぱの上に乗せてみました。「本当だ!沈まない」と、キャンディーはそのままスキップを踏んで、マロンたちのところまでやってきました。「ねえ、マロン。沈まない方法を知っているんだったら、教えてくれれば良かったのに」と、キャンディーが言いました。「あれっ?知らなかったの?僕は、みんな知っていると思ってた」と、マロンがスキップを踏みながら言いました。さっきのカエルもケロロケロロケロッケロ♪とスキップを踏み始めました。
三輪車をキコキコさせてチカちゃんがやってきました。スキップをしているマロンたちを見て、「マロンちゃん。私も入れて!」と、三輪車のままキココキココキコッキコ♪と、睡蓮の道にこぎ出しました。チカちゃんと陽気な三輪車は、ニッコリ笑顔で走っています。「沈まないね?」。それを見つけた公園のハトたちも、空から降りてスキップに加わりました。ククククックク♪と、睡蓮の上を滑るように軽々と歩きました。「カルガモみたいに沈まないよ」。
池のほとりのサクラの木の陰から、北風市長がのぞいていました。「そうか。スキップ気分でいれば、睡蓮の上を歩けるんだ」と、つぶやきました。北風市長が池の周りをスキップして回り始めました。一回りして、睡蓮の上に足を乗せたのですが、ポチャンと革靴が池の中に沈みました。「まだ、足りないかな?」と、北風市長はもう一回りスキップしました。タララタララタラッタラ♪と革靴を脱ぎ捨てて、睡蓮の葉っぱの上に足を踏み出しました。「やった!」。睡蓮の道は少し沈みましたが、それでも市長はマロンたちのように歩き始めました。タララタララタラッタラ♪とマロンとポテトとキャンディーとチカちゃんとカエルとハトと北風市長が、池の睡蓮の上をスキップしていました。「いい気分だね?」と、誰もが聞きました。「いい気分だね」と、誰もが答えました。
「市長!」と、池のほとりで声がしました。「すぐに戻ってください!」と、大きな声が響きました。スキップしていた北風市長の足が急に止まりました。その瞬間、市長の体は池の中にポチャンと沈んでしまいました。「市長、大丈夫?」と、マロンがスキップしながら聞きました。市長はニヤリと照れ笑いをして、池の岸に上がりました。ズボンもシャツもびっしょりです。それでも、北風市長は気分を取り直し、タララタララタラッタラ♪と、靴もはかずに市役所に戻って行きました。「市長さん、大変だね?」「タララタララタラッタラ♪」。「市長さん、大変だよ」「タララタララタラッタラ♪」。
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